うどん小話 その十四 ”うどん”と醤油
うどん小話その十一で、”うどん”と大根の話をしました。今回は醤油について述べます。
昭和二十年以前生まれの人達であればご存じだと思いますが、終戦後は食料不足で満足に物が食べられませんでした。非農家であっても土地のある人達は、小さな畑で小麦を栽培し、初夏になれば刈り取り、それを持って近くの農協へ行き、小麦粉と交換していたのです。(香川県は空梅雨の季節があり、小麦の生産に適している。)
その小麦粉で母親が”うどん”を作ってくれるのです。各家庭には麺棒、麺切り包丁などがありました。
ただ、”うどん”は作ってくれるのですが、物のない時代です。”だし”を作ってくれません。今の若い人達には想像できないでしょう! ”昆布”や”いりこ”、”削り節”など”だし”を作る材料は高価な物だったのです。
そこで、醤油の登場です。ただ辛いだけの醤油(当時は貴重品)をかけて”うどん”を食べていたのです。それでも、その当時は大変なごちそうでした。
その名残りがあり、今でも、香川県ではうどんに醤油をかけて食べるのです。
ただ現在の醤油は大変おいしくなっております。香川県だけでも三十数軒の醤油屋さんがあり、独自の風味を作り出しています。
”生醤油うどん(きじょうゆ)”で食べるときは、何処の醸造元の醤油なのか知って食べるのが”通”というものですよ。ちなみに、当店は坂出市内にある醸造元の製品を使用しています。
”うどん”と大根のページで述べましたが、生醤油うどんを食べるときは、絶対に釜あげの”うどん”で食べてください。水洗いした”うどん”は釜の湯が落ちてしまい、醤油と融合しません。釜の湯と醤油が微妙に調和し、絶妙の味を作り出すのです。
これにサンキストのレモン汁を少々落としてみてください。味が引き立ちますよ。また、甘みのある醤油がいいかと思います・・・・・・(これは私の好みです。)
でも、本当は”うどん”は”だし”で食べるものですよ!!