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うどん小話 その八十五 生姜(パート5)

昔から「サバに当たった」という話はよく聞いたことがあるでしょう。その多くは魚の中にいる"アニサキス"という寄生虫の仕業です。

"アニサキス"は本来、イルカやクジラの回虫で、その腸に寄生しています。イルカやクジラの便には当然この寄生虫の卵が沢山含まれています。この便を魚が食べ、その魚の腸の中で卵が孵化して幼虫になります。

"アニサキス"の幼虫を持った魚達は、やがて再びイルカ・クジラの餌食となり、魚と一緒に食べられた幼虫は、今度はイルカ・クジラの腸の中で成長してアニサキスの成虫(回虫)になります。

このように"アニサキス"は、イルカ・クジラ → 魚 → イルカ・クジラの循環の中で一生暮らしていきます。

ところが、ここからが怖い話となるのです。

本来、イルカ・クジラの餌である魚を人間が横取りして、しかも生で"アニサキス"の幼虫とともに食べてしまうことにより、「消化管アニサキス症」という病気にかかってしまうのです。

イルカ・クジラの寄生虫ですから、人間の消化管では成長することが出来ません。苦し紛れに粘膜を破り、さらに胃や腸の壁の中に、モグラのように潜り込んで行きます。そして小腸などの壁が薄い場合は、腸に穴を開けてしまうことがあります。

十数年前ですが、森繁久彌さんが、鮨屋でサバの刺身を食べ、その直後、救急車で病院へ運ばれたことがありました。犯人は"アニサキス"であったのです。

症状としては、"胃アニサキス"は周期的に「しぼるような胃痛」と「嘔吐」が襲ってきます。"腸アニサキス"はもう少し下の腹痛と、腹部膨満感が強く「腸閉塞」と同じ症状になります。

このように怖い寄生虫を"しょうが"がやっつけてくれるのです。このことをみても"しょうが"が「薬味」であることがおわかりでしょう。

"しょうが"には他の「薬味」にはないもう一つの特徴があるのです。それを次ページに書いて終わりとします。

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