うどん小話 その七十三 葱(最終版)
今回でネギの話は終わりとします。
漢方薬として昔から使われていたのは、ネギ類が持っている特有の機能性成分によります。その一つが硫化アリルであり、ネギ類を刻んだとき、目に染みる成分です。
生で食べると神経を刺激して消化液の分泌が盛んになり、食欲が出ます。また、風邪をひいたとき、焼きネギで湿布し、刻(きざみ)ネギと梅干を入れた熱いお湯を飲むと効果があります。ネギは身体を温め、発汗を早め、痛みや痰を取り去り、その上、胃腸を整え、グッスリ眠らせて身体に力をつけるという総合作用を発揮するのです。
このネギに含まれる硫化アリルには体内で硫酸を作り、解毒作用の効果があり、便秘・整腸・利尿・神経痛などにも薬効を示します。またそのほかに鎮静効果があり、よく眠れないときに枕元にネギやタマネギを刻んで置いておくと良いといわれています。
紀元前から中国・古代エジプト・古代ローマの時代に、すでにネギの薬効がわかっていたのです。先人の知恵のすばらしいところです。讃岐地方でも昔からネギを食べると頭が良くなると親に言われていました。これは本当のことであったのです。
日本ではネギのことを「葱」(き)と書き、また「気」ともいわれていたのが御理解いただけたでしょうか。七味の話で薬味を食べるために"うどん"とか"ソバ"があると申しましたが、まさしくその通りです。
うどんにはたっぷりネギをかけて食べましょう!!